アフタースクール common 流山おおたかの森S・C校 開校記念対談イベント
子どもたちに必要な「学び」の概念が変わろうとしています。
自分で考える力、それを表現し、伝え、判断する力、そして人とつながる姿勢。
未来を幸せに生き抜くための学びの手段として、今、取り入れられているのが「探究学習」です。
「探究的な学び」とはそもそも何か。
最新の教育事情に詳しい専門家に、今、求められている学びの形について語ってもらいました。
ーー 学びの形が変わり、評価のあり方も変わっていくと、教える側、先生や親のマインドチェンジやトレーニングも必要になりそうですね。大人はどうサポートしていけばいいでしょうか。
藤原: やはりそれぞれの大人が、探究的に生きることが大切じゃないでしょうか。現場の先生たちは本当に忙しく、休みもない。余裕がないのは事実ですが、私たちの団体では、まず先生たち自身が楽しい人生を送ってほしいというメッセージを伝えています。授業を探究的に変えると同時に、先生も親も一人の人間として、探究的に、魅力的な人生を生きていく。その豊かさを見せることが、子どもたちにとっても安心な気持ちで学び育つ基盤になるはずだと思うんです。
山本: まずは、自分達から、少しでいいから変化することですよね。僕は今、40代後半ですが、同世代で変わることを拒絶する人はすごく多い……。例えば、仕事や解決すべき問題を抱え込んで、誰にも相談できず、結局逃げてしまう。弱さを曝け出して助けを求められないんです。「失敗しても大丈夫だよ」「トライしよう」と、子どもに伝えながら、お父さんお母さんがそれをしていないと、子どもは安心できないですよ。僕自身、サラリーマンとして働きながら、そうした矛盾を感じていました。
空田: 私も、実は、我が子が生まれて、娘のためにアフタースクールを開設したところがあるのですが。親や学校の先生だけでなく、できるだけ多くの大人に出会ってほしいと思っていて。今日のこの場にも、子どもたちを連れてきているのですが(笑)。アフタースクールのような場所でも、地域の皆さんとも密着していろんな生き方をしているかっこいい大人たちに出会ってもらえたらと思っています。
ーー 楽しく探究的に生きる大人の背中を見せる、ということが大切なんすね。
藤原: 一人でもいいから、「この先生、この大人に出会ってよかったな」と思える人がいてくれるといいですよね。私は、娘が幼い頃は、仕事が忙しくて余裕が全くなかったんですが、時間的なゆとりが少し出てきたら、娘の話を聞くようになりました。聞くと言っても、大した相槌も打たないし、アドバイスもしない。娘から「悲しいことがあった」と言われたら、「そうか悲しかったんだね」と言って、すごいなと思うことがあったら「すごいね!」と褒める。それだけなんですけど(笑)。他の子にはないその子だけのいいものって、必ずみんなにあるから……、親はそれを何度も何度も褒めてあげたらいいんじゃないかなって。その中で、自信がついてきて、何かしたいと言った時に手助けしてあげられたら、と思っています。
山本: おっしゃるように、基本的には子どもを全肯定するだけでいいと思いますよ。僕の親も共働きで忙しくて、いつもほったらかしでした。でもやりたいと言ったことを否定されたことは一度もなかった。それに必死で働く親の背中を見て、自分も勉強を頑張ろうと思いましたよね。
藤原: 教育のあり方について話してきましたが、私としては、ただこの世の中がもうちょっと優しい世界になるといいなと思っているんです。世の中に対し、ただ批判するのではなく、これまでと少し違った見方をし、アクションを取る。時には失敗したり、認められなかったりしても、トライしていく人生を生きる大人を見せられたら、いいですよね。そして、教育を受けた子どもたちが、自分だけが強く、偉ければいいということではなく、周囲に優しくできるようなそんな人になってほしいな、と願っています。
ーー 楽しい人生を探究的に生きてもらえたらいいな、という子どもたちへの思いと、そういう教育の場を作っていきたいという皆様の思い、そして、自分自身もそうありたいと願うお気持ちが繋がっていると感じました。本日は、ありがとうございました。
会場: common 流山おおたかの森S・C校